浪人大学付属参考書博物館

roudai.exblog.jp
昔の大学受験参考書を展示する私設博物館です。

by roudai
更新履歴
2018/6/12
収蔵品番号667
のフェア情報を更新しました。

2018/1/31
収蔵品番号234
の復刊情報を追記しました。

2017/12/04
収蔵品番号063
の復刊情報を追記しました。

2017/08/22
収蔵品番号561
のレビューを公開しました。

2017/08/19
収蔵品番号416
のレビューを公開しました。

2017/05/03
春のイベントのお知らせに進捗状況を追加しました。

2017/04/08
春のイベントのお知らせに通販状況を追加しました。

2017/04/01
春のイベントのお知らせに当日の注意事項を追加しました。

2017/1/29
収蔵品番号222
のレビューを追加しました。

2016/9/24
収蔵品番号420
のレビューを公開しました。

2016/8/13
収蔵品番号467
のレビューを公開しました。

2016/7/23
収蔵品番号200
の復刊情報とレビューを追記しました。

2016/06/12
発行書籍番号006
の紹介記事を追記しました。

2016/03/23
収蔵品番号353
の代替参考書を変更しました。

2016/03/20
収蔵品番号470
収蔵品番号463
収蔵品番号456
収蔵品番号449
収蔵品番号414
収蔵品番号407
のレビューを公開しました。

2016/02/29
収蔵品番号505
収蔵品番号502
収蔵品番号460
収蔵品番号454
収蔵品番号410
収蔵品番号409
収蔵品番号405
のレビューを公開しました。

2016/02/14
収蔵品番号477
のレビューを公開しました。

2015/09/07
夏コミ新刊の通販を開始しました。旧刊も在庫ありです。

2015/08/29
収蔵品番号392
の復刊情報を追加しました。

2015/08/10
収蔵品番号452
収蔵品番号451
収蔵品番号450
収蔵品番号448
収蔵品番号447
収蔵品番号446
収蔵品番号445
のレビューを公開しました。

2015/08/01
発行書籍番号010
発行書籍番号008
発行書籍番号007
の改訂版情報を追記しました。

2015/06/01
収蔵品番号486
収蔵品番号487
収蔵品番号488
収蔵品番号489
収蔵品番号490
収蔵品番号491
収蔵品番号492
のレビューを公開しました。

2015/05/10
収蔵品番号478
収蔵品番号484
のレビューを公開しました。

2015/05/05
収蔵品番号472
収蔵品番号474
収蔵品番号475
のレビューを公開しました。

2014/11/30
収蔵品番号394
収蔵品番号399
収蔵品番号400
収蔵品番号402
のレビューを公開しました。

2014/10/14
収蔵品番号398
収蔵品番号397
収蔵品番号396
のレビューを公開しました。

2014/8/26
発行書籍番号011
発行書籍番号012
の委託販売を開始しました。

2014/6/7
収蔵品番号376
収蔵品番号150
収蔵品番号103
の代替参考書を変更しました。

2014/4/29
収蔵品番号434
のレビューを公開しました。

2014/04/19
収蔵品番号430
の代替参考書を変更しレビューに情報を追記しました。

2014/03/30
収蔵品番号357
の電子版復刊情報を追加しました。

2014/3/25
収蔵品番号433
収蔵品番号432
収蔵品番号431
のレビューを公開しました。

2014/02/26
収蔵品番号086
収蔵品番号347
の復刊情報を追加しました。
収蔵品番号393
のレビューを公開しました。

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収蔵品番号360 白井の近現代日本史

d0133636_20284286.jpg
【タイトル】白井の近現代日本史[決定版]
【著者】白井明
【肩書】代々木ゼミナール講師
【出版社】三省堂
【サイズ】A5
【ページ数】192頁
【目次】
はしがき
本書の使い方
Ⅰ 近代国家の成立 明治維新から日英同盟まで
 1.明治維新に入る前に
 2.明治維新
 3.廃藩置県と義務教育
 4.民権運動の高揚
 5.西南戦争
 6.鹿鳴館の時代
 7.大日本帝国憲法
 8.産業革命の進展
Ⅱ 帝国主義の時代 日露戦争から太平洋戦争
 9.日露戦争と条約改正
10.第一次世界大戦と戦後
11.憲政の常道
12.国際的孤児・日本
13.第二次世界大戦
Ⅲ 戦後日本の歩み 占領下から宮沢政権成立まで
14.占領政策と日本の再建
15.国際社会の一員へ
★最重要年表
★セット物特集
★近代史展望
★近代史概観
★近代史の内閣中心のまとめ
★主要政党系統図
【初版発行年月日】1992年11月20日
【収蔵品発行年月日】1992年11月20日 第1刷発行
【収蔵品定価】980円(本体951円)
【入手困難度】★★★★☆
【学力貢献度】★★★☆☆
【ヤフオク相場】1500円~
【鑑定額】1000円
【代替参考書】
【コメント】
まだ衛星放送や録画のない時代に幾多の予備校を掛け持ちして「白井の日本史」として一時代を築いた白井師。白井師の全盛時には「○○講義の実況中継」という形式の参考書は存在せず、その講義の中身は聴講した生徒しか知ることは出来なかったが、最晩年に三省堂のJUKEN LIBRARYシリーズから講義体での参考書が出されていた。
昨今の経費節減や世代交代のため、ベテランの味を感じさせる滋味溢れる講義(特に社会科)が払底しているが、本書は教師生活40年の白井師が集大成として、とことんまでわかりやすい解説を試みた野心作で、それまでの白井師の参考書とは一線を画した内容になっており全く古さを感じさせない。
講義の端々に受験生の盲点や先を見据えた話が挿入されており、ホストまがいや活動家上がりの浅薄な内容とは違う公正中立を心がけた内容になっていて、これを読んで泣かない人とは友達になりたくない、と思える内容である。
 この事件(注:江華島事件)はともかくとして、日本の歴史において、とくに近現代の場合、外国が日本に対して悪いことをしたときに、戦後の日本人はひどく遠慮をして黙っているクセがあります。ぽくの授業では黙っておりませんので、そのつもりで聞いていて下さい。もちろん日本が悪いことをしたときには悪いと申します。事実を尊重する、これは動かない。事実がどうあるかということだけが歴史においては勝負で、その前にある特殊な価値感が動くということを排除する。これかぼくの基本的な歴史のつかまえ方です。ぼくが師匠・坂本太郎先生(元東京大学教授・史料編纂所所長・文化勲章受賞者)から受けた最大のご恩と思っています。(53頁)
以前にも書いたように白井師の講義を1度だけモグったことがあるが、こんなに骨のあるものだとは知らなかった。基本的に早慶上智や関関同立が大好きな重箱の隅は気にせず、もっと大きな日本史の枠組み、そして社会の見方を示してくれる記述・論述問題を意識した内容になっている。以下に本書を読んで特に感銘を受けた箇所をいくつか引用しておく。
そこで、福島事件というのは河野広中という県会議長と三島通庸という県令との政策上の争い。三島という人は地方の土木事業なんかをやるのが大好きで、大きな道路をつくる。すると費用がかかるから県民の負担が増す。だけども大きな道路をつくれば、あとで交通だの産業面からいえばプラスなので、そういうときどっちをとるかという選択の問題なのです。
 こういう問題に対して、自由民権派はいつでも善で、それをおさえるほうは悪と、こういう発想はむしろおかしい。簡単にはそういうふうに割り切れないと思います。わかりやすい例を申します。ぼくの家は練馬にありますが、西武の池袋線が通っています。この奥のほうに最近はどんどん家ができてきたために、朝など電車の間隔がせまくなる、踏切がなかなか開かないわけです。したがってバスも時刻表通りには動かない。それをなめらかに動かすためには立体交差にする、そのために何軒かの家を動かさなければならない。どかされる家はいやですね。この家の利益を守るのか、それとも全体のために動いてもらうか、という選択の問題。
 こんどは電車を高架にして、下を自由に通れるようにすればいいと。また地下化すれば線路周辺の住民にはよいが、費用がもっとかかる。したがって、運賃に当然はねかえってきます。運賃にどれくらいはねかえって、それでも奥のほうから通う人はよしとするのか、それとも交通渋滞に耐えるべきなのか、こういう選択の問題が常にあるのです。ところがふつうに行なわれる反対運動、グループ運動はそうじゃない。どっちかは正しくて、どっちかはいつも悪い。こういう発想はおかしいとあえて言います。具体的に費用なり何なりがどれくらいのものになって、それは耐えられる範囲内にあるのかどうなのか、という選択の問題が世の中にはいくらでもあるのだということを知ってほしい。(66~7頁)
 このとき(注:立憲政友会の成立)伊藤をかついだのは、ほとんどが元自由党員、かつて伊藤と激しく争ったはずの人々です。だから幸徳秋水のような人は、自由党と伊藤とが手を組むのは何事かと、ものすごい勢いで怒る。
 史料問題によく出てきます。政治家ではない、政治を外から見ている幸徳のような人にとって、これほど理不尽なことはない。しかし元自由党員にとっては、自分たちは政治に志した、そうである以上権力に対する欲望がある。だから万年野党で何もかも反対というのでは面白くない。伊藤はすでに3回も総理大臣をやっているので、もう一度やるチャンスもあるだろう。とすれば、その内閣のポストを自分のグループで占める、自分も大臣になれるかもしれない。とすれば、今までのいきさつはどうであれ、ここで動かなければ損だ
―こういうことですね。
 ここで伊藤の動きも理解でき、幸徳秋水のいきどおりも理解でき、伊藤の許にはせ参じた連中の思いも理解できる―ということが必要です。その中の誰かの考えはわかるけど、これはわからない、ということでは困る。これは歴史学習の基本的な姿勢だと思います。(91~2頁)
 1911(明治44)年、ついに条約改正なる。
1858年から53年の歳月をかけてやっと対等の条約にこぎつけます。関税自主権の回復は、相手側にはそのふところにひびきますからなかなか認めてくれなかった。岩倉具視、寺島宗則、井上馨、大隈重信、青木周蔵、陸奥宗光、そして小村寿太郎、この7人の名前とそれぞれの動きを整理すれば、入学試験用の条約改正は終りです。
 入学試験用とあえて限定しますが、試験には出ないけれども、ここには全く名もない雑草の日本人が、53年の長きにわたって営々と努力してきた国力の充実というものを背後においてはじめてなしえたものだということを、我々は忘れてはならないのです。単に外交官が動いたから改正できたというものではない。国力の背景なしに外交はできません。
 第二次大戦後の日本も、外交面では本当に無力だった。それが今、サミットも日本をはずしてはできない状態です。日本の国際的地位が高くなった、というところには名もなき雑草派の日本人が戦後営々としてつみ重ねてきた努力を忘れてはならない。やっぱりそれを支えたのは日本人の勤勉さと、教育水準の高さと、輸入する品が技術関係においては百倍、ものによっては千倍の値うちになって外へ出ていく、という可能性をすでに現在の日本はもつようになっている、そういう努力があるのです。(109頁)
53頁の「是は是、非は非」とする白井師の姿勢がこんなところにもよく出ている。
 大正期の日本は三つ悪いことをやってます。一つがこの(対華)二十ー箇条要求、もう一つ、シベリア出兵、そして関東大震災のときに朝鮮の人を殺した。これはよくない。ぼくは日本のやったことを弁護するつもりはないので、事実として悪いことは悪いんです。(117頁)
南京大虐殺というのは、こういう衝突ですから当然虐殺は起りますが、ただ中国側のいう人数はどう考えても多すぎます。南京大虐殺がなかったとは言いません、しかし向うの言うことをウノミにするのもおかしいと、これだけは言っておきましょう。(152頁)
 日ソが手を組んだのが1941年の4月、有効期限が5年なので1946年4月まで有効、でそのままにしておけば自動延長、やめるときには1年前に通告という規定があった。実際は1945年4月に、延長はしないという通告がソ連からあって、小磯内閣はそのためにひっくり返ってしまう。ですから46年の4月には、日ソ中立条約がなくなるのだということは日本側も知っていた。
 しかしながらソ連がソ満国境を突破したのは1945年8月、まだ条約の有効期限内です。こういうことをソ連はやった、これは事実。ところが日本の学者の中には、いやいや日本だって関特演(関東軍の特別大演習)をやっているじゃないかという人がいる。満州におけるこの大演習は、ドイツがソ連を押していたときに、ドイツがもう一押しすれば、日本もソ連へとび込んでいこうと、そういう形の演習です。だから、日本がそういう身構えをしていた以上、ソ連がとび込んできても文句はいえない。こういう考え方。
 それに対して、日本の場合は演習であって国境を越えてはいない、ソ連は国境を越えて攻めてきた。これは犯罪行為における未遂と既遂の違いで、両者をごっちやにして論じてはいけない、という反論がある。
 実名をあげて紹介しておきます。このソ連が攻めてきたのはおかしいという代表は林健太郎という、東大西洋史の先生から東大総長をつとめ、のち参議院議員をなさった人。それに相対したのが家永三郎元東京教育大学教授、この二人の間に何回か論争があったんですが、これも平行線ですな。だから教師の中にも、一般の人の中にも、両方の見解があるということを知っていて下さい。(155~6頁)
効率一辺倒の受験参考書ではなく、受験後も読み返したい名著のうちの1冊である。
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by roudai | 2012-10-16 00:00 | 社会 | Comments(0)